ワークアウト work-out
かつてGE(ゼネラル・エレクトリック)の会長兼CEO(当時)であったジャック・ウェルチ(John F. Welch, Jr.)氏が1988年に提起した概念・ 業務改善プログラムであり、できる限り現場に近いところへ問題解決と業務改善をエンパワーメント(権限委譲)し、迅速かつ集中的に意思決定するためのプロセスのことを指す。
GEでは、1980年代後半から全社規模で導入・実施を進め、1990年代に入ってこのワークアウトが日常化し、1992年にはチェンジ・アクセレレーション・プロセス(CAP)へと発展し、全社的な業務変革に取り組むための体系へと進化した。
自由な雰囲気が全社に行きわたらない官僚的社風に不満をもったのジャック・ウェルチが、ニューイングランドの伝統的なタウンミーティングに習ってざっくばらんに話し合われた改善策を、具体的な行動・実践に結び付けるよう制度化したもの。
ワークアウトの実際
一般的なワークアウトは、社内のさまざまな階層から40〜100人ほどの従業員が集まって、2〜3日にわたって行われる。
ある課題について豊富な経験と知識を持つメンバーが集まってチームをつくり、様々な方向に課題を展開しながら、課題解決のための行動計画を作成する。
さらに、このチームは自らの行動計画の実行に加え、計画が実行されたかを確認するためのフォローアップを実施する。
e.g.)
最初に、マネージャが大まかに事業内容を説明し、その部門が抱える課題や目標を呈示する。
それが終わるとマネージャは退席し、話し合いには参加しない。
参加者はいくつかのグループに分かれ、ファシリテーターと呼ばれる進行役(外部のコンサルタントやビジネススクールの教授など)の助言を受けながら、提起された課題について議論を行う。
一定の解決策が出たら、マネージャを呼んでその説明を行う。
参加者がまとめた提案を聞いたマネージャは、その場で採用するか、却下するかを即答しなければならない。その場で結論を出せない場合も、決断を下すべき期限を設定する。
提案が承認されたら、“オーナー”と呼ばれる実行リーダー(通常は提案者などの改革に積極的な社員)に権限が委譲され、実現に向けて具体的な活動が行われる。
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官僚的社風というか、マネジメント階層のどこかで葬り去られていた「現場の声」が良ければ即座に実行されるようになり、現場で会社を支える従業員に積極的な発言と事業への主体的な参画を促すことにつながった。
QC活動に似ているが、QCは基本的に職場内グループであり、マネージャも参加しないことが多い。ワークアウトはバウンダリレスな営みであって所属や役職にとらわれない点が異なる
ワークアウトの語源は「文字どおり、不必要な仕事を取り除くという意味だ」とされるが、ウェルチが大規模な人員整理(ピープルアウト)を実施した後、「仕事の整理はいつになるのか?」と皮肉られたことに由来とする説もある。
--memo--
ファシリテーターとは、
ファシリテーションを行う人。進行役、促進役、推進役、引き出し役、調整役、介助役、世話人などと訳される。 チームや集団(会議などの一時的な集団を含む)において、中立的な立場からその集団の活動プロセスを管理し、成果が最大となるように支援する人をいう。
教育においては参加型学習(ワークショップ)の進行役を指す場合が多く、学習者が持つ知恵や知識、情報などを出し合い、共有する“学びの場”を促進する役割の意味で使われる。
また、社会活動・地域住民活動などにおいては、参加者を結集して意見を引き出し、提案をまとめ上げる役割の人をいう。
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